あの日あの時夢見た舞台へ


思い返せば12年前の夏。
それが全ての始まりだったのだと思う。

テレビの中で揃いのTシャツを着てHeroを歌う彼らは、当時小学5年生の私にとってまさしく「ヒーロー」だった。

ファンになるのに時間はかからなかった。まさかジャニーズのファンになるなんて思ってもみなかったけれど、見知らぬ文化に触れるのはとても楽しかった。

ファンクラブに入りたくて、でも許してもらえず。それなのに彼らをテレビで見る機会は年々増えていって。もどかしかった。未だに小中学生でファンクラブ会員になっている子達を見ると羨ましさを感じてしまう程に。嵐がまだアリーナクラスでツアーをしていた頃、地元に来ていると思うとワクワクする反面、その現場に入ることが叶わない現実に何度も泣いた。

中学も卒業に近づくと、私はあることを画策する。許してもらえないなら、母も嵐のファンにしてしまえばいい。

こうして数ある映像と番組を見せ続け、狙い通り母を味方につけた私は高校でようやく許してもらいファンクラブに入会した。けれどその頃には、嵐は10周年を迎えようとしており、もう雲の上の存在になっていた。

それからはほぼ毎年、受験生時代を除きコンサートには参加している。広いドームの中で群がるファンの1人に過ぎないけれど。時にはスタンド天井、時にはアリーナの花道真横の席で、変わらず考えていたことがあった。

もう1度、アリーナに来てほしい。

叶わないと思っていた。叶わないからこそ望んでいた。
Japonismドーム最終公演でアリーナツアーが発表されたとき、嬉しさと同時に困惑した。なぜこのタイミングで?色々な感情と同時に何よりも沸き起こったのは、あの頃嵐に会いたいと夢見た自分の記憶だった。

私が入らずに誰が入る?
根拠なんて何もなかったけれど、当たるという確信は事実になった。

地元会場にかける想いは人それぞれあることだろうと思う。私も同じだ。

けれど、あの日見ることができなかった景色を、今私は目にしている。客電の落ちた会場で真っ先に思ったことだった。


ドーム公演と同じ垂幕が降り、暗転した後に目に映ったのは、広島グリーンアリーナの会場中に響き渡る彼らの歌声と、彼らのシルエットだった。

「ただいま」

どんな思いで歌っていたのだろう。きっとあの会場には、あの頃からのファンは少なかった。

「おかえり」
そう言って迎えられるファンがどれだけあの会場にいたのだろう?

私はあの頃を知っている。けれど、「おかえり」を言うのは私じゃない。何せあの頃、コンサートには入れていないのだから。

別に古株の落選が多いことを批判しているわけではない。あの頃から大人だった人達は今も遠征をしているはず。遠征することが叶わない今の若い世代のためにもアリーナツアーを敢行したと私は解釈している。もちろんツアーパンフレットに書いてあったことも事実だと思うけれど。

少し話は逸れてしまったけれど、あの「ただいま」を聴いて、あの頃の記憶と、今ここにいるという現実に私は冒頭から泣いてしまった。溢れる涙を止めることができなかった。
あんなに行きたくても申し込みすら叶わなかった。それが何年も続いた。

今年、私は23になる。10年以上も前の記憶が今も鮮明に蘇るほど、私にとってはずっと思い残していたことだった。その思いが今、やっと昇華された気がした。

それも、あの頃求めていた以上のものが、今ここにはある。そう思える内容だった。この記事を書き留めておこうと思ったのは、その内容についてだ。つまり本題はここからである。

ドーム公演にも参加したけれど、アリーナ公演をやると聞いたときに思ったのは“縮小版”をやるのか?という疑問。

全く違った。縮小どころか、進化をしている。なるほど確かに、「アリーナだからこそできること」だった。

Japonism Showと名付けたこのツアー、メインステージでのパフォーマンスが格段に増えたと思う。ドームでメンステが主になると、後ろの席の人が見えない。だから彼らはあちこちに動く。けれどこのツアー、センターステージでのパフォーマンスが非常に少なかった。バックステージは何度かあったものの、ここぞというパフォーマンスは全てメンステだった。

見せて、魅せる。このツアーの意味はここにあったのだとわかった。なるほどShowである。


そして今回はメンバー全員が会場中に均等に散らばっていたと思えた。これもアリーナクラスならではだろう。

ドームではメンバーのあの人は来たけどこの人は来なかった、というのがザラにあることなのは皆さんもご存知のはず。

近くに、ということが目的ではないとは翔くんの言葉。確かにそうだった。メンバーが均等に散らばるということは、会場全てを嵐みんなが偏らずにしっかり見てくれているということ。

9年前まで当たり前だったアリーナツアーで、ドームに慣れた私たち(ファンと、そしておそらく嵐も)が忘れていたことを思い出させてくれたように思う。

嵐コールがとても揃っていたのもその例だと思う。

欲を言うならば、C&Rをもっと全員でしたかった。知らない人が多かったのでは?と感じてしまう程にC&Rの声が少なかった。

ライブに来るのだからそれくらいの準備はしてくるものなのでは?と思ってしまうが、知らないものは知らないのだから仕方ないとして、せめて周りでC&Rをしてる人につられてでもいいから参加してみてほしい。なぜってその方が絶対に楽しいから。

とは言えコンサートの楽しみ方は人それぞれなのでこれ以上は言わないことにしておく。私は私の楽しみ方を。

単純かもしれないが、私にとってはここ数年で一番のコンサートだった。

またいつか、広島に来ると言ってくれたその言葉を信じて。


ところであのティッシュのチマチョゴリみたいな衣装は一体いくらするんだろう。そしてそれを脱いだ次のポーズがまさかの電飾で私笑っちゃったすみません。LEDが為せる技やなぁ。

とりあえずの感想を今東京の一人暮らしの家に帰りながら新幹線の中で書いたけれど、かなり支離滅裂だ。仕方ない。終わってみるとこの一言に尽きる。


本当に最高のコンサートだった。
あぁ、良かったなぁ。


レポはまた後日。